過去、親などの重要な他者に抱いた感情や考えや行動のパターンを、今の人間関係において繰り返すことを「転移」と言います。
転移には、愛情・関心・性的な関係を求めたり、完璧で理想的な人間だとあがめたりする「陽性転移」と、嫌ったり怖れたり軽蔑したり、また嫌悪感を抱いたりする「陰性転移」とに分けられます。
ご本人の自覚あるなしに関わらず、特にアダルトチルドレン（インナーチャイルドを抱えている人）は、潜在的に寂しさ・恐怖・悲しみを持っていますので、周囲の人に転移を起こしやすいのです。
例えば、恋人や配偶者に愛情や関心を求め過ぎたり、反対に、その相手が要求を満たさないときには怒り、悲しみ、攻撃的な想いが爆発します。
上司や先生など、権威のある人からの承認や好意を強く求めてやまない気持ち、またはすべての人に良く思われないと気が済まないというのも「陽性転移」です。
また、恋人や配偶者に理想的な像を求めるのが「理想化転移」です。相手がその欲求を満たさないと、激しい怒りや憎しみ、攻撃心が生まれます（陰性転移）。
全ては、親などに対する潜在的な想いが、恋人や配偶者を通して表面化しているのです。
