つらい感情から身を守り、安定をはかるためのこころの機能を「防衛機制」といいます。(防衛は悪者ではありません。あなたを守り続けてきたもの、と捉えて下さい)主に、以下の通りです。

<抑圧>
不安や罪悪感を引き起こす認知を、意識から無意識へと押さえ込んでしまうこと。
例えば、幼い頃に性的虐待に遭った女性が、その記憶は無意識に押し込んで、意識レベルでは忘れたり、性欲を感じない状態にあること。

<否認>
認知はしているが認めてしまうと不安に襲われるので、それを無意識的に弱体化すること。
例えば、本人にとって好ましくない出来事を「そんなはずはない!」と感じている状態。

<置き換え>
ある人に対して持っている感情や考えを、当人にではなく他の人にすり換えることにより、当人からの攻撃を防ぐこと。
例えば、両親に激しい敵意を持つ人が、その敵意を権威者に向けてそういう態度を取ること。

<知性化>
感情をそのまんま感じることが怖すぎるので、そこから避けるために、知識を蓄えることにより知性的に対処する無意識的なこころの動き。
例えば、心理学の知識を身につけ、問題を自己分析すること。(これは防衛機制ですから、問題が解決するわけではありません)

<合理化>
自分が選択した行動や態度の本当の動機を隠し、論理的・道徳的な理由をつけて正当化しようとすること。
例えば、志望大学に落ちたことに対する素直な感情から避け、「これで良かったんだ」と思い込むこと。

<打ち消し>
過去の思考や行動に伴った罪悪感を、その反対の行動によってなかったことにしようとするこころの動き。罪滅ぼし。
例えば、子どもを叩いてしまった親が、後でお菓子を与えること。

<投影>
自分の中のある感情や考えを認められず、他者が持っていると思い込む無意識のこころの動き。(人は自分の鏡である)
例えば、自分の中の怒りを認められず、それを他者に投影し、周りが怒っているので怖いと感じる。

<取り入れ>
他人が持っている自分の望む特徴を、自分のものとして取り入れて精神的充足を得ること。
例えば、憧れの人の口癖を自分も言うようになる。

<昇華>
抑圧しておきたい強い感情や衝動を、直接発散させずに、社会的・文化的に受け入れられるような好ましい形にすること。
例えば、虐められた経験のある人が、後に虐め解決を目的としたNPO法人を作って活動すること。または、性欲を文学活動に代えた官能小説家。

※本当の自分を見つめる材料として、ご参考にして下さいませ。