アダルトチルドレンに贈る「生きづらさを抱えたあなたへ」(秋月菜央著)

こんにちは♪傾聴カウンセリング&ヒプノセラピー「道」前川うづきです。

さて今日は「生きづらさを抱えたあなたへ」という本から、ある一例をご紹介しますね。これ、前にも一度書いたかな?

主人公は美和さん。家族構成は、お母さん、美和さん、弟さん。両親は美和さんが7歳の時に離婚しています。

美和さんは、その家庭の事情から、高校時代はアルバイト、家事、勉強とがんばり、無事に高校を卒業しました。

美和さんは高卒後、ある大企業に就職しました。お母さんの葉子さんは、大変に誇らしかったそうです。が、入社後、なんと美和さんはお母さんを驚かせることを言います。

「本当は、ツアー旅行の添乗員になりたい。そのために添乗員資格が取れる専門学校に行きたい。働きながら、学校の二部に通ってもいいでしょう?」

葉子さんはただちに頭を横に振りました。そして、その大企業がいかに待遇がいいかを強調し、最後は泣きながら反対しました。

そのお母さんの様子を見て、美和さんは「一時」は諦めました。しかし一年後、お母さんに預金通帳を見せて、金銭的な迷惑はかけないからと迫りました。

お母さんはもう一度反対します。そして彼女の留守中、なんと、美和さんのお金をそっくりそのまま全部引き出してしまったのです。娘は今は分からなくても、いつかわたしに感謝するはず。若さゆえの憧れに過ぎないんだからと。

それから半年ほど経ったある日、食事をしながら皆でテレビを見ていた時、それは起こりました。画面には海外旅行の映像が流れていたのですが、お母さんはこう言ったのです、「ね、やっぱり旅行はお客さんで行くのがいいのよ。その方が気楽よ」

その瞬間、葉子さんの顔に熱い味噌汁がかかりました。次いで、箸やお皿やおかずや醤油が飛んできました。次いで葉子さんは殴られ、弟さんも殴りかかられるので身を隠し、葉子さんはただ両腕で頭をかばうのが精いっぱい……。

それ以来、美和さんは何かと暴力を振るうようになりました。会社も辞め、朝からビールを飲むようになったのです。葉子さんは何も言えませんでした。殴られるのが怖かったからです。

葉子さんには理解できませんでした。あんなに良い子だったのに、なぜ? と。私も一生懸命育てたのに、と。しかし次第に、美和さんの胸の内が明らかになってきました。

「かわいそうだと思って優しくしてりゃあつけあがりやがって」「悪いのはみんな人のせいにして、自分はぜんぜん反省しない。そんなだから男に捨てられるんだよ」「あんたは人の人生の寄生虫だよ!」美和さんから葉子さんに投げかけられた言葉です。

そんな状態が8か月、さらに再び働きだすまでに1年かかったそうです。

美和さんはこれまでの怒りを全て出し切って、また葉子さんもこれまで娘に頼り過ぎていたことを反省して謝り続けたのですね。そんな1年8か月です。

親が、親を頼るように娘を頼る逆転親子。そうしてしまうと、子供は子供らしく育ちませんよね。美和さんは典型的なアダルトチルドレンでした。

親と子は、考え方は同じではないですからね。どうぞ全ての親御さんには、そのことを重々理解していてほしいな、と思います。

そしてアダルトチルドレンからの脱却には、プロカウンセラーもお役に立てます。色々選択する場面で、これは果たして親の考えなのか、あるいは自分の考えなのかが分からなくなっている方は、特にね。

恵まれている、しあわせなはずなのになぜか不安に襲われる。好きなことしかしてないのに心から楽しめていない気がする。そんな方はアダルトチルドレンだと思っていいでしょう。

ほうじ茶や緑茶をご用意して、待っていますね。